メリットはわかるのにICT化が進まない理由とは
厚生労働省の「東京都保育士実態調査報告書」などで膨大な量の事務作業が保育士の負担になっていることが公表されています。
その保育士の負担を軽減する、保育のICT化に関する事項が政府が発表した「子育て安心プラン」の「保育人材確保」施策に追加されてICT化のハードルはさがったように見えますが、保育施設で二の足を踏んでいる状態です。
業務負担軽減というメリットがあるのにICT化が進まない理由とはなんなのでしょうか。
保育士の職場に対する改善希望情報
厚生労働省の調査で保育士の職場への改善希望状況が分かっています。
「給与・賞与等の改善」「職員数の増員」に次いで「事務・雑務の軽減」が上位にランクインしており、膨大な量の事務作業が保育士の負担になっているのです。(出典:厚生労働省「保育分野の現状と取組について」資料2-1)
保育現場のICT化の現場
保育施設への調査で保育のICT化を進めているかと言う質問したところ、かなり進めているとやや進めているとの回答が7割となっており、ICT化に向けてシステムを導入していたり機器の導入を考えたりしている保育施設は多いと言うことがわかっています。
ICTシステムを取り入れて良かったと回答した保育施設も8割以上になり、ほとんどの保育施設でICTシステムを導入して良かったと考えていることがわかりました。(クリオテック調べ)
平成29年に政府が発表した子育て安心プランの待機児童解消に向けた取り組みとして保育の人材確保の施策にICT化に関する事項も追加され、ICT化に必要な物品の購入費用に補助金が適用されるので予算面のハードルが下がり導入はしやすくなったといえます。
ではなぜICT化を進められない保育施設が約3割もいるのでしょうか。
保育ICTシステムを進められない理由
前述のクレオテックの調査で「保育のICT化を進められない理由を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、
●使いこなせる自信がない(38.1%)
●教員・保育者が使用法を学習する時間がない(26.8%)
●価格が高い(22.7%)
上記の理由が多いことがわかりました。
補助金が適用されることから「価格が高い」を除くと、ICTシステムを使うことに対して不安を感じている施設が多く、勉強会の時間の確保を考えるとなかなか踏み出せないと感じていることがわかります。
導入されていない保育施設を含め保育のICT化は必要と感じている方は多く、保育士の確保の観点からもICTシステムの重要性に気づいてはいるものの導入に踏み出せていないことがわかりました。